2013年1月7日月曜日

2007年 沖縄旅行記 第二十四章 瀬長島


前回はゼンザイをいただきました。
美味しかったですね。

さて今回はまだ出発までには多少時間があるがかといってどこかに行くほどに時間は無い。
空港近くにとてもいいスポットがあるのでそこに行こうということになりました。





車に乗り込んだ私たちには少しづつ別れが近づいていました。
日はまだ高い位置にあります。
会話を普通の会話にしようとするがすこしづつ言葉が減っていく...

車を運転する彼女。
手を伸ばせば直ぐそこに彼女の白く美しい手がある。
でもその一線を越えてしまうことは僕にはできなかった。

運転をしながらチラチラっとカナは僕を見た。
僕は景色を眺めようとしているが時に彼女と目が合ってしまう。
その度ごとにお互い「あっ」と一瞬時間が止まる。

国道58号線の道が丁度那覇港の上に差し掛かった。
彼女を見つめると彼女の向こう側に傾きかけた日と雲のグラデーションが見える。
彼女はけなげに車を運転している。

ああ この時間を失いたくない。 彼女を抱きしめたい。という衝動が湧き上がる...

その時、急に彼女の目から涙が流れた。

言葉がでなかった...。

カナは涙を拭いながら...
「えへっ ごめんね... グスン。」

僕は訳を聴かず進行方向に目を向けた。
那覇の街並みが過ぎていく...。
自分も彼女がわからないように涙を拭った...。

その場所は空港の真南。
橋で繋がった無人島 瀬長島。

なぜ彼女がココを選んだのかわからない。
後に調べるとココはカップルの島として有名な島。
若人達が飛行機の離発着を見ながら愛をささやく場所だそうだ...。

車は駐車場とも取れる広場に止まった。

<15:50 瀬長島 到着>


僕たちは車を降りた。
そして車に寄りかかるようにして海の向こう側を眺めた。


空港が見える。
常に聞こえる波の音。
時折聞こえる飛行機音。

僕等は一言も会話を交わさなかった。

徐々に日が傾き空が赤紫に染まっていく。

空港の誘導灯が瞬きだした。

その刹那、僕の手に暖かい温もりが感じられた。
カナが僕の手を握っていた...。
そして消え入りそうな声で

「今...
今だけ... 
今だけ恋人に...」

僕は彼女の手を振り解き彼女を肩から引き寄せ、抱きしめた。
ハッと驚く彼女の唇に口付けをした。

飛行機が爆音を轟かせて僕たちの頭上を通り過ぎていく。

彼女の腕が僕の体にギュっとしがみつく...
あぁ いとおしい...

暫くの間、僕たちの時間は止まったままだった。
彼女の暖かい唇から離れたのはどのくらい経ってからだろう...。

キスの後、僕達はおでこを付き合わせて暫く目を閉じた。

カナがまた消え入りそうな声で

「 ありがとう... 」

と言った。

声が泣いていた。

スッと彼女は僕の腕から離れた。

そして小さい波が打ち寄せる海辺まで歩きながら腕を挙げ背筋を伸ばし
「スッキリした! これでまた頑張れる!!」
と力強く言って僕に向かって振り向き舌をだした。


僕は一瞬目を閉じそして彼女に「うん」とだけ答えた。

僕達は車に乗り込んだ。

<16:20 瀬長島 出発>

もしかしたらミサキはあえて今日席を外してくれたのかもしれないと思った。

今回作成したMMDポーズデータをDLできます。

https://docs.google.com/open?id=0BwQDs72rXVp8LXJpakNNeC01NEU

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